先日、妻の体調が悪かったので、夕食はコンビニで何か買ってすまそうかとゆうことになりました。
なもんで、車で近くの、5分くらいですか、コンビニに買い物に。一人で。
国道沿いにありますのがその超有名コンビニ。駐車場が大きく便利です。
何にしようか特別決めてなかったので中に入ってからうろうろと。弁当は時間が悪かったらしくあまりありません。うーん、じゃ季節外れだけどおでんにするか。見てみたらけっこうネタ有った。プリン1個と菓子パン2個買ってから、レジの隣のおでんのとこに。ガンモでしょ大根でしょ、卵でしょしらたきでしょ、うーん
それから何にしようかなととりあえず汁を入れて悩んでたら、いきなし「早くしてよ待ってるんだから。」
って声が聞こえて、どんとぶつかられた。
汁がドバっとこぼれて
「あちちちちち。何するんですか。」
見れば怖い顔のおばさん。
「ぐずぐずしてるからよ。」
「ぐずぐずって、だからって言って押すことはないでしょう。」
「どういたしましたか?」
店の人が出て来ました。若い兄ちゃん。
「この人が押すから、ほら、おでんの汁がこぼれて。火傷しちゃったよ。」
「私、何にもして無いわよ。」
「あああ、こんなにカウンター汚して。おでんも汚くなっちゃったじゃないですか。お客さん、
困るなあ。責任取って貰わなくちゃ。」
「私この人が指を鍋に突っ込んでるの見て注意しただけよ。まったく常識無いんだから。」
「お客さん、そんなことしたんですか。全部まるごと買い取って下さいよ。売り物になんないじ
ゃん。」
「バカな。そんなことするわけ無いでしょう。だから後ろからこの人が押してこぼれたんだって。
自分で火傷するようなことするかよ。あんたおかしいんじゃないの。」
「このお客さんは何もしてないって言ってます。いつも沢山買ってくださるお得意さんですから。
あなたみたいに時々来て二人でプリン1個買う、せこい客とは違うんだよ。」
「何だその口の利き方は。プリン1個だって客は客じゃないか。ああ、いいよ。もう頭に来た。
全部要らないから。もうここには来ないし。俺は帰る。」
どんとおでんのカップ置いて、出て行こうとしました。
「あ、この人、帰っちゃうわよ。」おばさんがでかい声で。
それ聞いて、奥からもう一人店員が出て来ました。
何でだかでかい包丁持って。さっきの兄ちゃんと全く同じ顔をしてる。
「どうした。何かあったのか。」
「あの客が、おでんをほらめちゃめちゃにして逃げようとしてるんだ。」
「何してるんだ捕まえなきゃいけないじゃないかよ。」
出て行こうとする後ろで声が聞こえます。
捕まっちゃたまらん。
急いで入り口自動ドアを出る。
どが
何かに蹴つまづいた。
「何だよ、痛ーなあ。」
見上げて俺を見る顔はさっきのコンビに店員と同じだ。20歳そこそこの若いヤツ。
なんでこんなとこに座っているのだ。
「ごめん。悪かった。」
「悪かったで済むかよ、親父よう。」
店から
「おい、その親父捕まえてくれ。コンビニ荒らしだ。」
との声。
若いヤツは黙って立ち上がって俺の腕を掴む。
「違う。コンビニ荒らしなんかじゃないぞ。」
と振りほどいて、店を出て右手、我が車の止めてあるほうに小走りで向かおうとすると、
「おい、その親父捕まえろ。」
ウンコ座りあんちゃんの仲間がタムロしていた。男女合わせて13人はいる。
何時の間に湧いて来たのだ。
あんな大量の同じ顔に捕まったら何されるかわからん。
咄嗟に、車で逃げるのは諦めて、反対方向に走った。ウチの方向とは反対側に。
店の前の国道沿いの歩道を。
後ろからバイクの発進音が聞こえる。
こんなとこまっすぐ逃げたらすぐ捕まる。
コンビニから一軒隔てた店先に入る。最近出来たマンガ喫茶&インターネットカフェ。
店前駐車場を走りながら、店に入ってしまうと、袋小路だ、と思う。
店脇、塀との間の道を抜けて裏に出ようとする。
狭くて往生しながらも何とか裏に。
裏口正面のコンクリートフェンスをよじ登った。
飛び降りる。
上に有った有刺鉄線に引っ掛けて上着シャツを破いてしまった。どっか切ったようだ。
痛い。
塀を越えると民家だった。ごく普通の白い分譲住宅風の。
「すみません通して下さい」と心の中で思って正面に向かおうとする。
コンビニ裏の道に出るに違いない。
建物脇の物置前を通り抜けた時、地面で何かが動いた。
咄嗟に何かわからず、立ちすくむ。
蛇だ。
何でこんなところに蛇が。
蛇は死ぬほど嫌いだ。
ネズミ年だから、これはいたしかたが無い。
止まっていると、蛇もびっくりして、くそ、こっちに向かって来た。
何か、棒みたいなものは無いか。
信じられない速度で蛇は近づくと
何と、俺のズボンのスソから頭突っ込んで入ってきやがった。
あまりのことに、気が狂いそうに。
妙に湿った感覚が足をうねうね襲い・・・太ももに痛みが。
焦って、まだスソから出ている尻尾を掴んで引きずり出し、放り投げた。
ブチっと切れる感触が。
まだ何か太ももで動いている。
わっと思わずズボンを脱いでしまった。
太もも膝の上辺りで蛇の頭だけが
齧りついて
目が動いて俺を見た。
思わずそばの枝を毟り取りこそぎ取ろうとする。
蛇の頭の肉が取れて目だけが
目だけが
こっちを向いている
手で毟り取った。
「あっちにいるぞ。裏に廻れ。」
慌てて、ズボンを持ったまま民家の玄関から外に出た。
--------------------------------------------------------------------------------
<落ち着け 落ち着け 落ち着け>
と心の中で3回唱えてみた。
左に行って裏から車に戻るか。いちばばちか。
いかん。さっきの声からすると、俺がこっちに廻っているってことは、ばれている。
だとすると、やつらにとっても最短距離は左からだ。
鉢合わせしてしまうじゃないか。
ぶおおおん
バイクの音だ。右に走った。とにかく今は逃げなければならない。
すぐ左の細い路地に入った。そしてすぐ右に走った。30mほど行ってすぐ左に。
道には人っ子一人いない。夕方の住宅地。同じ家が延々と並んでいる。
高い建物は皆無で、どっちへ俺は向かっているのか。不安が走る。
近所なのにこっちにはとんと来たことが無い。
太陽か。曇天でどっちにあるか。わからん。
そうだ。高圧線の鉄塔が国道沿いにある。振り返ってみた。背中に見えた。
そのまままっすぐコンビニから離れているに違いない。
少し広い道に出た。
右に少し行ってすぐに左に入る。もう駄目だ。
こんなに走ったのは何年ぶりだろうか。腿が震えているのが自分でもわかる。
息を切らせながら、路地からそっと右側を見る。とにかくズボンを穿(は)かなければ。
ぶろろろーん
遠くにバイクが見えた。いやバイクだと思った。
右だけズボンを穿いた状態で走ったものだから思いっきり転ぶ。くそ。
結局脱いでしまった。
前を見ると300mも真っ直ぐの道だった。
住宅2軒ほど挟んで延々とコンクリの塀。どんなに走り続けても、続けても見つかってしまうじゃないか。
行くしかない。100mほど行ったところで左側が開けた。
門がある。
「富士見台第4小学校」
こんなところに学校があったのか。とにかく入るしか無いな。
幸運にも縦格子状のスライド門扉は開いていた。
入って、押して閉める。音を立てないように。内側から金具をかける。
鍵は無いけど、少しは時間が稼げるかも。
壁際に廻ることを思い付きもせず、バカなことに真っ直ぐ正面校舎に向かって俺は走って行った。
そのアスファルトが膝を攻撃してくる。
膝が笑うってのはこうゆうことか。
何分かかったか考えたくも無い。目の前の入り口にとにかく飛び込んだ。
振り返って門の方を見る。
静かだ。やつらはまだ気付いて無い。
とにかく休みたい。
階段を上り2階にある一番近くの教室に入った。
授業中だった。
この時間に 何故だ。
同じ顔をした子供達が一斉にこちらを向く。
先生は 先生はまるで気付いて無いのか、無視をしてるのか、黒板に向いたまま書きながら話している。
若そうだが顔はわからない。男だ。
「あ、あの、ははは、変なヤツラに追われて・・・・」
ぼかぼかぼかぼか ぱか ぼかぼかぼかぼか
一斉に児童達が上履きを俺に投げた。
しゅっ
ぱす
ぷるるん
コ、コンパスだ。壁に貼ってある学級新聞に突き刺さった。
咄嗟に飛んで先生の足元に隠れる。
しゅっ
しゅっ
しゅっ
しゅっ しゅっしゅっしゅっしゅっしゅっ
ぱす
ぱす
ぱす
ぱす ぱすぶすっぶすぶすぶすぶすぶす
上で鳴るは、肉に 多分 肉に刺さる音だ。
これはたまらん。そのまま前に向かって走り、外のベランダに出た。
窓から湧いて来るようにガキどもが俺に巻き付いて来た。
そのまま、下に飛び降りた。
下を見ると 花壇が有った。
ここままの軌道で落下すると丁度コンクリの淵に足がかかるかかからないか。
1秒半が15秒に感じ、着地した。
やっぱり淵ぎりぎりだ。
そのまま後ろにゆっくり倒れる。
後頭部を窓か、壁にぶつけるな。痛いだろうな。
ぷにゅ
妙な感触がした。
そのまま尻から下に
ぶにゅ
また妙な感触が その後、頭に激痛が
何かが突き刺さったようだ。
へたりこんだまま頭をまさぐって引っこ抜いた。
小さな歯だった。
もちろん、振り返る勇気なんかあるものか。
何が潰れたにせよ、何にもしない大人に巻きつくのが悪い。
叫んでも声にならない 花壇を飛び越えて、こちらが正門なのだろうか。門の前の地べたに座った。
突然、おかしくてたまらなくなり笑う。
あの先生、これから「コンパス」って仇名になるな。
げほげほ
笑い過ぎてむせてしまった。
が、笑っている場合では無い。
立ち上がると、左足の靴が無かった。右足の靴はある。
中でグチュグチュ湿った感触に気付いたとたん、痛くてたまらない。
もしかすると親指の爪が・・・もちろん脱いで確かめる勇気は無い。
これからどうすればいいのか。
どっちへ向かっていけばいいのか。
考えた。
考えても手は2つしかない。
逃げるか、戻るかだ。
立ち上がって、正門に向かいながら思う。
逃げるか。
この足ではあとどれくらい行けるか。それにどこへ向かって行くのだ。
戻るか・・・・戻るか。
俺の車。そりゃ価値はもう無いが、買い直す余裕など無い。
やつらがどれが俺の車か気付いていたら・・・・。
一か八か。
やつらは暇そうだからまだ俺のことを探しているに違いない。
多分、学校の反対側を。
だから裏をかくのだ。
しかし
戻るにしても、この足では。
「水島さそ、いやあぬ、あそこのだいこんタイムさーびさでさー、100円やそかたのやんよう」
「いやだー、とりあいしと買ってのねえ。まったくたちあばなさーてばきゃははははははは。」
「だてしゅふてそれくりゃあやらねけろん、やていかねいでしょん。」
「やだー、わたしもねえこのまえやっちゃとのよー、といれっとぴぺーがさー198えんでさー」
正門の前で、主婦二人が家の前でしゃべっている。その声たるや周囲3kmに響きそうだ。
一人は自宅らしき門の中、一人は道で、自転車を降りて、両手で持っている。
俺は自分でもわかるくらい凄い形相で走った。
「すみません。すぐ返しますから自転車貸してください。」
スポっと自転車を抜いてすぐ飛び乗り全速力で走った。
交渉してる時間は無い。
あれ?
騒ぐ様子が無い。振り返って見てみた。
「やだーみずしまさ。きゅうりもやすかたのやよお。5本で135えん。かっちゃたわよう105本。ばんはそれだけ。ひゃひゃひゃひゃ」
「やだーたちばなさ、それじゃかわいそうよお、うりきゅうだけええ。きゃはははは。」
手を自転車を持った体勢のまま、話し続けている。
自転車を獲られたことを気付かないほど大切な話をしているのだろうか。
全速で走る。右足が靴の中でぐちゅぐちゅ鳴る。
しかし痛みなど感じている場合では無い。
高圧線鉄塔を目標にひたすら漕いだ。
真っ直ぐ行って、突き当りを右に。
すぐ左に曲がり、また右に。
しばらく行くと、見覚えのある風景が。
あのコンビニに行く、いつもの道が前に見えた。
ホッとした。自分の世界に帰ってきた気分だ。
そこを左に曲がれば、すぐ左手にコンビニがある。
左手で前にカゴに入れたズボンのポケットの鍵を探りながら、心の中で何回も唱えた。
「ドアロックドアロックドアろっくだおろっくどあろっくどあろく」
いったん店の駐車場手前で降りて、様子を探るか
それとも一挙につっこむか
様子見れば、臆してしまうかもしれん
ええい、こんちくしょー 行っちゃえ
目一杯漕いで鬼のような顔で左側コンビニ駐車場に入った。
店から幾分離れたこちら側に車は止めてある。
その前で地べたに座ってカレーヌードルを食ってる若いヤツがいた。
黄色いからカレーだ。
いまさら止まらない。
そのまま突っ込んで轢いてやった。
もんどりうって、麺とスープが空中に舞って
「あちちちちちちち」
起き上がって
「何だこのやろー。」
俺は自分の車にぶつける様に、ぶつけやしないさ、自転車止めて
左手に自分のズボン、捨てやしないさ、
振り返って、そいつの鼻に向かって思い切りストレート・パンチを放ってやった。
ズボ
妙な感触が・・・
ずん
引っこ抜く
「うごごごごご」
ぴゅーーーと綺麗な放物線を描いて血が
すまんすまん。右手には車の鍵持ってたんだ。刺さってしまったのか。
あ、鍵が曲がってしまった。
いかん。
必死に直している間に、車の向こう側で他の若いヤツラが騒ぎ出した。
気付かれてしまった。
鍵を真っ直ぐにして、必死に鍵穴にいれようと入れようとするけど、焦って 焦ってるので
入らん。
入った。
バンッツ
ドアロック!!
思い続けただけあってすぐ、最初にドアロックできた。
左側見ると連中がこちらに向かってこようとしたその瞬間
店の中から凄い形相で誰かが飛び出して来た。
わ、あのおでんおばさんだ。
どうゆう訳か手に店のおでん鍋を持ったままカールルイスのごとく、俺の車に突進してきた。
どばばばばばば
近づいてくると、おでん鍋からおでんを車にぶちまけた。
わ、俺の車が汚れるじゃないか。
それから助手席の窓に顔を押し付けて
「んぎゃぐぎゃ、おげごぎゃぎゅ。」
わめいている。窓に顔の形で模様がつくじゃないか。嫌だよ。
それに
怖。キーを入れて車を出すぞ・・・国道は・・・ラッキー、バカ空き、何も通って無い。
出そうとした時
ずり どんどんどん ばしガリガリ
何かが上に飛び乗ってへばりついた。
まさかあの・・・おでんおばさんが・・・まさか
アクセル、ベタ踏みで発進、無謀にも右折だい。
キキキキキキ
唸り上げて曲がった。
ぴゅーーー
上に乗ってるものが飛んだ。
どんっ。
曲がってすぐ・・・赤だ。急停車。赤だったから車がいなかったのか。
バックミラーで後ろを見ると
コンビニの国道挟んだ向かいの、ファミレスの壁におでんおばさんが突き刺さり、90度の角度に
なっていた。
ゆっくりとスローモーションのように下に落ちていく。
落ちると
血まみれ益々な形相で立ち上がり、信じられない速さで、こちらに走って来た。
両手を颯爽と振って
コンビニではあの若い連中が、バイクに乗って発進しようとしている。
信号が青に。
どっちへ行くか。
右折すれば家に帰れるが・・・あいつらを一緒に連れていく訳にはいかない。
左折するぞ。
瞬間躊躇してる間に
ずり どんどんどん ばしガリガリ
何かが上に飛び乗ってへばりついた。
おばんさんかよ。
屋根が血で汚れるじゃないか。
アクセル踏み込み左折した。
頭上のおばさん、テクを身につけたようで絶妙なバランスを取っている。
500mほど先の小さな交差点の信号は青だ。
ベタ踏みして速度を上げる。
こんなところで止まるわけにはいかない。
すると
右手から自転車が。若いちゃらちゃらした若いカップルが二人乗りしている。
当然止まるものかと思ったら渡りやがった。
当然やつらの信号は青だ。
こちらの方どころか右も左も一瞥せず、二人ともタバコを吸いながら携帯電話。
のろのろしてやがる。
このままの軌道だと、俺の車とジャストでドカンではないか。
間一髪、仕方なし急ブレーキを踏む。
二人はちゃらい顔付きでこちらを見る。
目が丸くなった。
車は止まる。
しかし
屋根から、おでんおばさんミサイルが超音速で発射。
・
・
・
命中。
かき混ぜて食べる人のミートソース・スパゲティのようになってるそばを
迂回してゆっくり俺は通り過ぎた。
俺は止まったのだから文句はあるまい。
悪いのはおでんおばさんだ。
それとおめーら。
再びアクセルベタ踏みで速度上げる。
500m先には中くらいの交差点。あそこを右折しよう。行き過ぎると国道に戻れなくなる。
信号は赤だ。まずい。後ろにはバイクの連中がすぐそばまで迫っている。
止まるわけにはいかないのだ。
あと50mに迫った時、信号が青に変わった。
斜め30度の角度でショートカットし、対向車より先に右折に挑戦。
ききききききき
成功。
自転車の婆さんの鼻先かすめて、ばーさんもんどりうったが。
ごめんね。
そのまま全速で前進す。
どっかーーーーん
凄い音が後ろでした。
バックミラーで見ると
俺に続いて無理に右折しようとしたバイクが、対向車のタンクローリーとモロに激突、
そのまま角にあるガソリンスタンド(セルフ)に突っ込んで高さ200mの火柱が上がっている。
無理に右折しようとしたお前が悪い。
追っ手はもういないか。
少し安心して、次の交差点を右折。そのまましばらく行って国道交差点を左折、
そして最初の交差点の手前の角が警察署だ。
そこまで辿り着けば。
国道交差点の信号は青だった。
ややのんびり走ってたら、変わりそうになり、焦って速度を上げ左折する。
曲がりながら右を見ると・・・・
お、おでんおばさんがモリモリとした形相で先頭にいるでは無いか。
その後ろに1クラス分の児童達。あの小学校のコンパス・ガキどもか。
その後ろにバイクが2〜30台はいる。
何故だ。
わが車、左折直後、信号が変わり、猛然と追ってくる一同。
あわわわと声にならない。ぶっ飛ばす。目の前に警察署が見える。
まともに駐車してる時間など有る訳無い。
角にある交通安全警官人形目指して、45角度にスピン駐車した。
ぎがががががが。
回転して後部を人形に激突で駐車。
どばっとベルト外して、外に飛び出ると同時に
車の反対側側面に
ぐちょ
(おでんおばさん激突の音)
べちゃぐちょがちょぶつぶつぶつ
(ガキども激突の音)
ずかんどがんばがんききききこーん
(バイク重ねての音)
ひょーん、どっかああん
(交通安全警官人形がスローモーションで倒れて、その方向にいるトラックを潰す音)
這いずるように俺はすぐ前の警察署の玄関に向かった。
二重の扉を何とか押して開けて、悲鳴を上げた。
「すすすすす、すみません。へ、変なヤツラに追われて・・・・。」
全員デスクワークをしている警官たち。
一斉に俺を見つめた。
全員、同じ顔をしていた。
完。